英語は他の多くのヨーロッパ言語が持っている名詞の格変化や動詞の人称変化のほとんどを失ったため、文中の格関係(誰が誰に何をどうするか)を語順に依存しており、したがって語順が固定的であり「文型」がはっきりしている。 日本の英語教育ではC・T・オニオンズの提唱した5文型という考え方が英語の基本文型として広く使われている(実際には、5つの文型ではうまく説明できない文も存在するとし、5文型を強調しすぎることが却って学習の妨げになる、という主張も珍しくない)。 5文型は、英文の中心をなす主語述語部分において、前置詞無しに語を並べただけで文ができあがっている物を分類したものと言える。そこで使われている語は主語としての名詞、存在を言う述語としてのbe動詞、作用を言う述語としての一般動詞、主語の性質や状態を言う形容詞、一般動詞の目的語になる名詞、その目的語に対する内容的な述語になる動詞の原形や名詞や形容詞である。このように5文型は主語と動詞と、前置詞無しで並ぶ名詞とその名詞に対して内容的な述語として並ぶ単純な形という限られた部分において、並んだ語の種類によって分類し5つの形にまとめた物と言える。ここには文の大基本である主語と述語に含まれている意味への考察がなされていない。そのため意味に基づいて言葉を使用しようとしている学習者にはかえって妨げとなっているのである。 これまでは下記の文型が主要かつ重要なものであるとして扱われてきた。英文の構造の分類法としての5文型は日本以外の国ではあまり一般的ではないが、動詞の語法を説明する上では、「基本5文型」をベースとした動詞型の分類が世界的に受け入れられていて、ジーニアス英和辞典、Oxford Advanced Leaner's Dictionary 等の多くの権威ある辞書において積極的に採用されている。 通常、進行形の文は第2文型とは見なさず、動詞部分を三単現など主語に合わせた形にして文型を考える。また完了形も同様である。また受動態の文も5文型に当てはまらない。群動詞を含む文は群動詞全体を1つの動詞と考えることが多い。また、群動詞は助動詞と本動詞が融合したものであるので、特別な形の助動詞として扱えばよい。 そもそも5文型は助動詞を除去した主語と述語の部分において語の並びだけによって分類した物なのである。 ランドルフ・クァークは付加語A (Adverbial) を加えた考え方を提唱している。付加語Aは修飾語Mとは異なり省略することができない。この考えでは従来の5文型にSVAとSVOAという文型が加わる。また第2文型のうちVがbe動詞の場合を特別に扱う考えもある(つまりS be C)。また A・S・ホーンビーは第3文型、第4文型、第5文型のOやCが不定詞や分詞や動名詞やthat節の場合などで細かく分類した文型を提唱している。 ゲルマン系の単語のほかに、ラテン系の単語も混入しているが、これは、ノルマン・コンクエスト以降、フランスから来た貴族階級がロマンス諸語のオイル語系のノルマン語を話していたことの影響である(時期的には 11世紀以降で、中英語)。英語の名詞に性や格がほぼ消滅して、語尾変化もほかのヨーロッパ語と比べてとても少ないのはこのノルマン・コンクエストによってである。それ以前は複雑であったイギリスの言語が、イギリスの貴族階級や聖職者や教師がノルマン人になり英語を話さなくなった結果、庶民の間で簡単に話せるように簡素化されていった。それとともに貴族階級やジェントリーがフランス語にも近いノルマン語を話し、聖職者がラテン語を話すようになりその結果として多くのラテン語やフランス語も借用されることになった。 カナダは元英領植民地であった地域だが、その英領植民地にそれ以前はヌーベルフランスであり、今でもフランス語が使われ続けているケベック州があることから、カナダ全体の公用語として英語とフランス語の両方が制定されており、連邦政府のサイトや企業の商品説明などは全て英仏両言語で行われている。旧英領の国としては、全人口の内、英語を母語とする人の割合は58%と低く、フランス語が22%を占める。これは、移民が非常に多いため第二言語として英語を使用している人口が非常に多いからである。また、アメリカ合衆国が隣に位置していることから、旧英領であるとはいえ、オーストラリアやインドなどほかの旧英領植民地とは違い、比べるとカナダの英語はイギリス英語よりもアメリカ英語に近いが、単語の綴りとしてはイギリス英語式を採用することが多い。ケベック州ではフランス語が公用語であることから、英語を母語とせず英語運用能力が高くない人も少なくないが、ケベック州とニューブランズウィック州、オンタリオ州以外ではほとんどフランス語が使われないこともあり、カナダ英語におけるフランス語の影響は皆無に近い。